漢那ダムにみるこれからの土木技術者の役割
こんにちは、ミヤギです!!
さて、先ほどですが、環境土木学科で宜野座村にあります漢那ダムへ見学に行ってきました。
ダムって大きいのだけども、繊細な配慮でデザインされ造られているモノであるってことについ てお話をしようかと思います。
ダムってなんの為にあるのだっけ?
ダムというのは土木事業の分野になっております。なので、土木での建設現場の管理者になるためには土木施工管理技術者という国家資格が必要でこの資格試験でもダムについて出題があります。
そのダムについてですが、
ダムの役割って何だと思います?
そんな当たり前のことを聞いてくるなんて…?って思ったりしていますか?当たり前の答えとしては市民や地域に住む人の飲料水、生活で欠かすことができない水を確保するためにあります。ですが、もうひとつあげるとしたら、川の近くに住む人の安全を確保するためにも必要な物でもあります。
「安全の確保」というのはですが、突然の豪雨、または長期間にわたって雨が降り続くことで川が氾濫をし、川の周辺では洪水などの災害を受けることがあります。そこで、川上、川の途中にダムを設けることで川の水の量や川の流れを調整することで川の周囲、川下に住む人の安全をつくることができます。
なので、ダムというのは人が安全に生きるうえでは欠かすことができない存在になります。
ダムを維持する、管理するとは?
ダムの毎日の管理というのは水位の管理、貯水量などを行うことです。
ですが、
もうひとつあげるとしたら、ダムのゆがみ具合をチェック、管理することも重要な仕事になります。
ダムがゆがむってなに?
ダムがゆがむって何?どういうこと?と思っているかとおもいます。
環境土木学科でコンクリートまたは土木構造物という科目を学ぶのですが、学び始めてすぐにでてくる言葉が「コンクリートの膨張・収縮」です。
コンクリートの収縮というのは何かっていうとですね、コンクリートは気温によって、大きく膨らんだり、小さく縮んだりします。なので、コンクリートで造られた漢那ダムも膨張と収縮をしています。その膨張と収縮によってダムがゆがんでいるということです。ちなみに私たちが見学に行った2016年9月8日は2㎜ほどゆがんでいました。プラスマイナス5㎜のゆがみを超えると異常な状態と判断されます。
あんなデカいダムなんだけども毎日繊細な点検を行っています。
漢那ダムは実は最先端
漢那ダムは平成5年に運用されたダムですが、じつは最先端。
一体何の分野で最先端かというと、ダム周囲の環境とそこに住む動植物の生態系に配慮した設計となっています。
大きなコンクリートのダム(一部、ロックフィルダム)が造られたことで漢那地区の形を変えてしまい、動植物の生態系にも大きな影響を与えることになるのですが、それでもなるべくは環境の負荷を抑え、川下からダムの湖畔まで川に住む魚、エビなどのための生物のための人工的な川も設置されています。
ダムの堤体から川下にかけて6200本ものマングローブも植樹がされています。人の手でつくったマングローブの森であっても、野放しにしておき手入れをせず自然に極力近い状態であります。川下周囲は普段から一般の人も散策できるよう開放と整備されていますよ。
あと、ダムの堤体そのものも沖縄の各地多くある城(グスク)をイメージした意匠デザインなっており、石積みされたような感じのコンクリート仕上げとなって圧迫感を抑え、かっこいい感じになっています。
意匠や環境に配慮され人間や魚・動物などにとっても憩いの場となるようデザインされためずらしいダムとなっています。
漢那ダムから考えるこれからの土木
これまでのダムは生活用水や安全に暮らすためだけにあったのですが、これは機能の面。これからのダムは生活用水と安全の確保というこれらの機能はもちろん踏まえて、人が楽しく生き生きとなれる癒しのような場として役割を担っています。
人が楽しく快適に過ごすための場づくりというのはダムだけに限られたことではなく、土木に関しては永遠の課題なんでしょうね。これからも私たち環境土木学科は学生と共に多くの人が安全で楽しく過ごす場をクリエイトできるよう、ひとりでも多くの人へ貢献できるように日々勉強します。
地域・町のデザインに興味ある
サイ・テク・カレッジ環境土木学科も10月1日から平成29年度の入学願書を受付開始となります。興味がありましたらいつでもお気軽に私または学校に連絡をください。
では!!
ご安全に!!
追伸:
今、夏休みに環境土木学科、建築学科での渡嘉敷島合宿についてお話しできるかなって思います。実は今回ですが、写真を一部フィルムカメラで撮ったもので現像に時間がかかってしまっています。しばし、お待ちを。